上巳の節句・ひな祭の行事食で季節を感じ自然の恵みに感謝する

女の子の成長を願うお祭りとして、親しまれている「ひな祭り」ですが
その由来は、季節の変わり目には邪気が入りやすいとの考えから
邪気払いに、川で穢れを流す風習から来ているとも言われています。
この風習が「流し雛」になりました。

源氏物語の須磨の巻に、光源氏が須磨の海に形代(かたしろ)を流したと記されています。
鳥取や和歌山など、今も流し雛の風習が残っている地域があります。

 

古くからの風習とは言え、時代の流れで変わっていく部分もあります。
元々は「一人一飾り」と言われ、一人に一対ずつ持つものとされています。
これは、雛人形が子供の身代わりになって厄を受けてくれる、お守りと考えられていたからです。
現代では、各ご家庭に一つのお雛様がほとんどではないでしょうか。
また立派な七段飾りは現代の住宅事情にはそぐわず、親王飾り(お殿様とお雛様のみ)の雛人形が
一般的なようです。

 

江戸時代後期に、はじまったつるし雛。
当時の庶民にとってはひな人形は高価で、簡単に手に入れることができません。
そこで、手作りのつるし雛でお祝いしたそうです。
愛する我が子の成長を願う気持ちは、誰しも同じ。
母親だけではなく、お婆さまや叔母様、ご近所の方がそれぞれ小さな人形を作って持ち寄り
作られることもあったと知ると、心が温かくなりますね。

時代にる移り変わりや、地域によりいろいろな風習があるのが
とても興味深いですね。

 

日本には季節ごとの伝統行事やお祝いの日に食べる「行事食」があります。
五感を感じ磨くのに、旬の物をいただく「行事食」はぴったりです。
また、行事食には家族の健康や幸せを願う意味合いがこめられています。
ひな祭の行事食を、何か取り入れられてはいかがでしょうか?

 

 

はまぐりのお吸い物(潮汁)
はまぐりの貝殻は、対の貝殻しかぴったり合わないことから
よい結婚相手と結ばれ、夫婦仲睦まじく一生添い遂げるようにという願いが込められた縁起物です

 

菱餅(ひしもち)
菱餅は菱の実の粉で作るるものでしたが、緑と白の2段重や5段重ねになったなど、諸説あります。
菱餅の、ピンク(紅色)白、緑が春らしい色合いに意味があると言われています。
紅色は魔除けの色で、くちなしの実には解毒作用があります。
白は清浄や純潔を表し、菱の実には血圧を下げる効果があります。
緑は健やかさと成長を意味し、よもぎにも解毒作用があります。

 

白酒(しろざけ)
もともとは桃が「百歳」(ももとせ)に通じることから、桃の花を酒にひたした「桃花酒」(とうかしゅ)が飲まれていたと言われています。
桃は邪気を払う力があること、桃にまつわる神話は前回の記事でお話ししました。
白酒が飲まれるようになったのは江戸時代の頃からです。

 

旬の物を味わうことは、季節の恵み=大自然の恵みに感謝することにも通じるのではないでしょうか?
改めて、家族やスタッフ、自然の恵み、神さま方への感謝の気持ちを持って
行事食を味わいたいと思います。

 

「ひな祭」に関するこちらの記事もどうぞ!
 ⇒「上巳の節句・ひな祭り」邪気を払う桃の花でひな祭りをお祝いしましょう。
 ⇒ひな人形と神棚と随神門の共通点とは?

 

(♥くれや萌絵)