「神様名鑑」9.イザナギ黄泉へ行き、イザナミと別れる

9.イザナギ黄泉へ行き、イザナミと別れる

イザナミを忘れられないイザナギは、黄泉の国へと向かいます。
ですがイザナミはすでに黄泉の国の食べ物を食べた後で、もとの国には戻れない身になっていました。

しかしイザナギの熱意に打たれ、黄泉の神に相談することにします。
イザナミは自分の姿を見ないようにと言うのですが、イザナギは約束を破ってイザナミの姿を見てしまいます。
炎の灯りに浮き上がったイザナミは、腐敗して蛆が湧いた恐ろしい姿でした。

イザナミの変わり果てた姿を見たイザナギは、急いで黄泉の国から逃げ出します。
イザナミは恥をかかせたと怒って後を追わせますが、イザナギは機転を利かせて撃退しながら逃げていきます。

櫛を投げて山ぶどうや筍にに変化させて撃退、また雷神が迫ってくると桃の実を投げて退散させます。
ついにイザナミ自身が迫ってきますが、イザナギは黄泉と現世の境目を大きな岩でふさぎます。

最後にイザナミは「地上の国の人を1000人殺す」といいます。
そこでイザナギは、「では1500人産ませよう」と答えます。
ここで、この二人が人の生き死にに関わる神様であるということを暗に示しています。

この黄泉騒動ですが、古事記のエピソードではメイン的な扱いですが、日本書紀での記述はあくまでも補足的です。

イザナギの逃走劇では、とても示唆的な食べ物が3つ出てきます。
1)櫛を投げると山ぶどう
2)別の櫛を投げると筍
3)黄泉の国との境界線に桃
*道教の思想で、桃は邪念(魔)を払うというものがあります。

イザナギ・イザナミが祀られている神社は、埼玉県の秩父神社、滋賀県の多賀大社など。

イザナミの墓と言われている場所はいくつかあります。
三重県熊野市の花の窟神社や島根県出雲市の佐太神社です。

黄泉と現世の境目である「よもつひらさか」は広島県北部の比婆山にあります。